『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』

初めて竜宮島にフェストゥムが現れたあの日から1年前。
竜宮島では季節外れの卒業式が行われていた。
卒業し、島を離れるものへの僚からの手向けの言葉。
それは平和そうに見えたこの島でも来る日に備えたこの島の真実を知ったものたちの卒業式。
そしてこの島の中ではとある計画が進められていた。
「Plan L」
「L計画」と呼ばれるこの計画は竜宮島で営まれているその平和な生活を守ろうとするものだった。
その計画を計画するのは生駒正幸。病に倒れ、寝たきりの姿になりながらもアルヴィスの作戦参謀を務める彼には祐未という一人娘がいた。彼女は何も知らず、幼馴染の僚とともに中学で生徒会の仕事を、家では父親の介護を。そんな日々におわれ、何も知らず平和を享受する祐未。だが、正幸の死をきっかけに祐未はアルヴィスの存在を知り、父親の計画したL計画に加わることになった。
L計画とは竜宮島をフェストゥムから欺くために劣りとなりフェストゥムと戦い続ける過酷な作戦だった。
それを父の意思と信じ自分の心を縛られる祐未。自分の大切な人のためにそこに喜びを見つける僚。正幸の死をきっかけにすれ違う二人。
そしてついにL計画発動のときがきた。
島からはなれ、L区画が海上に浮上するとそこにはフェストゥムとの戦いが待っていた。倒しても倒してもまた現れるフェストゥム。2ヶ月という作戦期間は長く、最初8人いたパイロットは次々に倒れ、同化し、結晶化して消えていく。作戦期間が終了したときに残っていたのは3人のパイロットと2機のファフナーのみだった。
そして竜宮島に戻ろうとしたそのとき再び現れるフェストゥム
僚と祐未は再びファフナーを駆り最後の戦いへと赴き、フェストゥムを島のフェンリル機動で掃討後竜宮島へ進路を向ける。が、脱出艇の前に現れたのは海に入れないはずのフェストゥム。脱出艇はロストし、僚と祐未は島からはなれ海の底へ。
誰もいない、暗い、そして静かな深海。二人はそこで始めてお互いの気持ちを確認する。だが、やがて同化現象がおき消えてしまう祐未。そして僚は一部始終を語り残し、フェンリルを起動する。海に立ち上る水柱。それを見つめ、涙する果林と総士
4ヵ月後。島に僚のファフナーのコックピットが漂着した。そこに僚のぬくもりを感じるプク。そして島の全ての大人たちは僚のメッセージに涙し、決意を新たにする。
再び現れるフェストゥム。L計画によってもたらされた平和の時間は短かった。だが、そのわずかな時間も全ては与えられたものだということを胸に総士はこれからの戦いに望もうとするのだった。

というわけで『蒼穹のファフナー』の舞台から時間を1年間さかのぼってのスペシャル版。
いや。。。泣けますって。1時間という時間のため、かなり駆け足な感じがするのも事実ですが、テレビシリーズにいたる総士の気持ちとか、ファフナーの世界観がしっかり描かれてます。
結局は僚や祐未はテレビシリーズでは出ないわけだけど、それはすべて総士にきちんと受け継がれているのだなぁ、と。
まあ、結末としては悲しく、切ないものになるということは舞台設定の時点でわかっていたわけですが、ラストの『Peace of mind』がバックで流れているところはもうヤバかったです。
すごく良かったのは、最初のところはふつうに第3者視点で描かれていた物語がL計画発動のところから僚の主観的な語り方に代わって言ったところ。それがエンディングの島の人が記録を回収して僚のメッセージを聞く場面にすごくきれいにつながってる。
で、セリフ回しの一つ一つが良いなぁ。。。多少説教くさくてっていう部分もあるけれどウチは好きです。

んで、angelaの歌がやっぱり合いますね。挿入歌の『果てなきモノローグ』とかメチャクチャいい。当然『Peace of mind』も。絵やセリフの重ね方もいいからすごく効果的。

テレビシリーズのファフナー、良かったって人はお奨めです。