今週の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』。

今週のSEED DESTINYは第28話『残る命散る命』。
クレタ島沿岸で再び衝突したミネルバと連合軍。戦力としては圧倒的多数を誇る連合軍はミネルバを挟撃。セイバーはカオスとムラサメを、インパルスはアビスを相手にしてミネルバを守ることはできない。
そんな中でも敵兵を殺すまいとするアスランだが、その切っ先が鈍ったような戦い方に次第に苦戦。そしてムラサメ部隊に徐々に追い詰められるミネルバルナマリアとレイのザクでは苦戦を免れず、ついにそのブリッジがムラサメにロックオンされたそのとき、またもや一条の光が空から現れる。今度フリーダムに救われたのはミネルバだった。
オーブ軍に「軍を引け!」とこの戦いを終わらせようとするキラとカガリ、そしてアークエンジェルだが、それはまたしても戦場を混乱させるだけ。ついにキラとアスランが再び激突することになる。「下がれ!」とキラに叫ぶアスラン。そして漁夫の利を得ようと襲い掛かるスティングのカオス。だが、キラの前ではエクステンデッドも敵ではなく、あっという間にカオスは大破。その間にインパルスに襲い掛かるアビスだが、SEEDが覚醒したシンの前ではカオス同様無力でしかなく、コックピットにビームサーベルが直撃。瞬く間にアウルは海の藻屑と消えた。
その後も続くオーブ軍の進行。ムラサメ隊の前に立ちふさがり説得するカガリだが、決意を胸にしたムラサメ隊のババ一尉らはカガリを力づくで排除。その決意を見届けよ、とミネルバに特攻していく。死をも厭わない兵士を止めるのは困難を極める。ムラサメ隊の特攻によってルナマリア機は大破。ミネルバも深手を負う。
再びフリーダムとセイバー。「お前はミネルバに沈めというのか!」と叫ぶアスランに対し、「カガリは今泣いているんだ!」とカガリを追いかけるキラ。そしてそれでも立ちふさがるセイバーをフリーダムはカオス同様一瞬にしてセイバーを切り刻む。
そしてミネルバを落とせばいいというユウナの命令に苦渋の決断を下すトダカ一佐。タケミカヅチを前線に出し、その身を盾にミネルバに迫る。ひるむユウナを一喝し、総員退艦を命じ、それでも残るという部下にオーブの未来を託し「アークエンジェルに行け!」という言葉とともに部下を送り出す。一人艦橋でタケミカヅチと命運を共にするトダカ一佐。その命を絶ったのは、トダカが家族を失ったあの日プラントへ行けと道を示したシン・アスカ。シンは何も知らずにその狂剣をふるう。その先にいたのが自分の恩人とは知らぬまま。
戦場にはその惨劇に、そして自分の無力さに涙したカガリの咆哮が響き渡る。。。
というわけで第28話。前半のクライマックスとなるだろう今週のエピソードですが、タイトルどおり多くの命が散っていきました。覚醒したシンに一蹴されたアウル、その理念を胸にそれが無力と知りつつも自ら命を散らしていったムラサメ隊、そしてこの不条理な情勢に自らの命と引き換えに国の理念を守ろうとしたトダカ一佐。アウルに関してはずいぶんあっさり死んでしまったなという気はするなぁ。ここまでそれほど活躍してなかったし。ハイネに比べればマシだけど。SEED全体にいえるんだけど、名前あるキャラクターをあっさり殺してしまうというのはなぁ(名前ないキャラならいいというわけではないけど)。。。前にどっかで監督が「名前のあるキャラクターが何か言うひまなく死んでしまうということで、戦争の現実を表現したい」みたいなことを言っていたのを見たことがあるけど、本当にそういう考えでこうしてるのか。その一方で、今回のムラサメ隊のように見せ場を作って散らしてしまう場面もあり。その理念を胸に特攻というのは正直好きではないけど、ただひとつ今回のムラサメ隊、そしてトダカ一佐に見えてくるつくり手の考えで賛同できる部分がある。
それは軍隊はその力を持って政治力を持とうとしなかったということ。どんな理不尽な命令にもその力で反しようとはしなかった。トダカもムラサメ隊も。これはどんな不条理な命令でも従えということではなく、実際政治力なんてその力を欲した軍事力を前にしては何の力も持たない、だからこそ軍人は政治に口を出さない、つまり軍事力と政治力というのは完全に分けるべきなんじゃないかなということ。だからトダカ一佐の「ユウナ・ロマではない!国(の理念)を守るために!」という言葉が説得力を持つ。理想論かもしれないですが。
まあ、でもあれですね。いくらなんでも「アークエンジェルへ行け!」は微妙かも。外から見たらまだその立場がどういうものかわからないアークエンジェル陣営なのに。ま、そこにはもともとオーブの理念を象徴し守ってくれるという期待があるからこそなんでしょうが。だからこそトダカカガリを連れ去ったフリーダムとアークエンジェルを見逃したわけですし。