乙女企画クロジ☆プロデュース公演『こわれた玩具』

突然降って湧いた今日の観劇。友人が観にいった舞台の演目が遊◎機械/全自動シアターの『こわれた玩具』ということで急遽行きたい気持ちがムラムラと。(笑)
知ったのが昨日と突然だったこともあり、チケットは完売していたのだけど、友人から譲ってもらい観に行けることに。(^-^)
貴重なチケットを譲ってくれてありがとう。m(._.)m
自分にとって、かつて見た作品を別の劇団がやるのを観るのは意外にもはじめて。同じところが再演するのは観ることはありましたけど。そんなわけでどんな感じになるのかドキドキしながらの観劇。


舞台はある街の小さなおもちゃ工場。そこにはそこの工場長を父にもつ三姉妹がいました。平凡だけど幸せな日々。しかし、突然その幸せは終わりを告げました。父親が作った人力飛行機が失敗に終わり工場に墜落し、その工場を部下の一人に奪われたのです。
新しい工場長は弱みにつけこみ皆をこき使い、揚げ句のはてに三姉妹の長女アリカを妻にしようと言い寄ります。しかし守ってくれるはずの家族は飛行機の墜落以来気持ちがバラバラ。家族のために自分を殺して身を粉にしてきたアリカの心はついに行き場を失い壊れてしまいました。そう、幸せだった子供の頃にもどってしまったのです。。。


と、導入部はこんな感じ。今回見る前に特に気になっていたのが、昔、遊◎機械の舞台を見た時には、それぞれの役の心理的裏づけやそれに基づいた表面的な変化を表現するのが凄い難しい芝居だなぁ、と思ったので、今回そこらへんをどう味付けしてくるのか楽しみでした。かなりシリアスな脚本だけに(言い方は悪いですが)客の心をギャグでつかむようなことの出来ないお芝居ですし、しっかりとした裏づけがないと(これはこのお芝居に限らないですが)場面場面で見せるキャラクターの本音みたいなものがとても薄っぺらくなってしまう危険があるということ。そして遊◎機械のときには世田谷パブリックシアターという小劇場系の劇場では大きい部類に入るハコで演出していた舞台になる工場の空間的な感覚を狭いハコでどう観客にいろんな場面を感じさせてくれるのかということでした。
結論から先に言えば、予想以上にいいものを見せてもらいました。(いい意味で)期待以上でした。
演じ方に関しては当然もともとの遊◎機械の公演の真似事になってしまえば、そのために集めたキャスティングでおこなうオリジナルにかなうわけがないので、いかに今回演じる人たちが自分に役を引き寄せられるか、かといって自分に引き寄せすぎると話の流れから離れてしまう。按配が難しい中、とくに良かったのが三姉妹の長女アリカ役の福圓美里と三女ドオカ役の仲西環、イイ感じでした。福圓さんのアリカはオリジナルの高泉淳子と比べ洗練されたものではないけれど、それを逆手にとってもっと自分の居場所、自分のあり方を見つけられない不安定な少女期の女の子という感じをうまく出していたなぁ、と。ラスト近くの家族に裏切られた気持ちとそれでも家族を好きな気持ちという相反する複雑な感情を見事出していたと思います。それからオリジナルではこれは演じたミュージシャン・さねよしいさ子*1本人のためのあて役じゃないかと思ったくらい彼女のはまり方が素晴らしかったドオカ役を演じた環さん。さねよしいさ子のイメージがぴったり来てるだけにこれを演じる人は大変だろうなぁと思っていたのですが、ドオカの持つ純粋さ、そしてその純粋だからこそこの作品に出てくるどの役よりも実は真理を見抜いてるのではないかとドキリとさせるような演技がお見事。とくにラストシーンに続く場面でアリカに向かって叫ぶ一言。ここにすべて集約されてるような感じがしました。
なんて、かなりえらそうに感想を書いてみましたが(笑)。ようは面白かったというわけです。
それにしても、これだけ当初の期待以上の舞台を見れたのは久しぶりかも。(期待通り面白かったものはあるけれども。)
BQMAPをはじめて見た時以来かな?これからも機会があれば見てみたいなぁ。

*1:「♪ぼらぼらの〜 マルコじいさん〜」っていう歌で思い出す人もいるかな?